ドンキーコングの本体

ドンキーコング(DONKEY KONG)

任天堂/ゲーム&ウォッチ・マルチスクリーンシリーズ/1982年頃
(C)1982 Nintendo

ゲーム性 ★★★★★ 業務用の魅力を損なわずに見事にアレンジ!テンポ良し!
操作性 ★★★★★ 初めて触っても違和感無い十字キーの操作性は最高!
キャラクタ(画面) ★★★★★ 個性的なキャラ。効率良いキャラ配置!
サウンド ★★★★ メロディでは無いが、ゲームに非常にマッチしている
ハード ★★★★★ マルチには、このカラーリングしか無いって程、良く似合っている
総合 ☆☆☆☆☆ はっきり言ってG&W中で一番良く出来ていると思う

■ゲーム解説:業務用を見事にアレンジ!!

ドンキーコング上画面
ドンキーコング下画面
 任天堂の「ドンキーコング」と言うと、現在でも度々新作が発売されるほどの人気シリーズとなっています。
そのシリーズ第1作でもある「ドンキーコング」は約17年前の1981年に業務用ゲームとして登場しました。
個性的な全4面構成と自由度があるキャラの動きでたいへんな人気を博しました。歴史的名作と言えるでしょう。
20代後半の世代の方には、想い出深いゲームではなかったのでしょうか。 
そんな名作ゲームを電子ゲームに移植した訳ですが、元々3枚基板のゲームをコンパクトで
制約が多い電子ゲームにそのまま移植できる訳がありません。大幅なアレンジが必要です。
では、このG&W版「ドンキーコング」の出来はどうだったのでしょうか?

 業務用の一番印象深い部分と言ったら何でしょうか。やはり「タルを飛び越えるアクション」に尽きると思います。
もちろんジャッキをくぐり抜けたりボルトを外す面もそれなりに印象深いのですが、
一番目にする面だからでしょうか、樽を飛び越える「25m」に思い入れが沸いてくるのです。
左の画面写真を見ると分かる通り、G&W版も「タル飛び越え」を重視した内容となっています。

 ゲームをスタートするとドンキーコングがタルを転がしてくるので、タイミング良くJUMPボタンを押して
「救助マン」を表示させます。この時はまだ「マリオ」ではなく「救助マン」だったんですね。
(後に輸出された海外版では「Mario」になっていました)
そして転がってくるタルをジャンプしながらドンキーコングのいる上画面を目指します。
天井が低い所ではジャンプ出来ませんので注意して下さい。
タルを最下段でジャンプすると1点、上の段でジャンプすると2点加算されます。
また、上の段では頭上に鉄骨が動いている場合があります。ジャンプした時に鉄骨に当たるとミスになりますので
注意して下さい。

 ハシゴを上って上画面に行くと、ドンキーコングとの一騎打ち(?)です。
左に「クレーンのレバー」がありますので、十字キーの左を押してONにします。
そして、ドンキーコングが投げるタルを避けながら鉄骨の右端に寄って、クレーンのフックが一番左に来た所で
JUMPボタンを押してクレーンに飛びつきます。成功すると、ドンキーコングの足場を支えているワイヤーを1本
外す事が出来ます(得点はクレーンに飛びつくまでの時間で5点〜20点まで変化します。速攻で飛びつくようにしましょう)。
失敗すると悲しくも落下してしまいミスとなります。この時の落下デモがなかなか良く出来ていて、
痛々しく感じます。この頃になると、かなりキャラも表情豊かになっていますね。
「クレーンに飛びつく」と言うアイディアは非常に優れていて、ゲームにマッチしており
以後のG&W版ドンキーコング・シリーズでも採用されています(「ドンキーコングII」を除く)。
 
 ドンキーコングを支えている足場のワイヤーを無事に4本外すと、ドンキーコングはまっさかさま・・・。
1パターンクリアです。レディからの熱い祝福・投げキッスが貰えます。どうしてその場から逃げないんだ・・
と言った素朴な疑問は当然却下です(笑)。
(ちなみに「ドンキーコング」でマリオが救うのは「ピーチ姫」だと思われている方がいると思いますが、
ピーチ姫が出てくるのは「スーパーマリオブラザーズ1」からです。)
ドンキーコングまっさかさま!
痛ッ!悲しい救助マンの落下
 このゲームでもG&W特有のミス帳消しシステムは健在で、300点に達した時にミスがあると全て帳消しになります。
また300点に達した時にミスが無い場合、チャンスタイムとなり次にミスするまで得点が2倍加算されます。
もちろんミス3回でゲームオーバーです(このゲームではミス回数を「残り人数」で表示しているのがミソです)。

 最高得点は999点ですが、場合によって998点の時もあります(998点の時、下画面の2段目で飛び越えた時)。
(これって、今考えると「バグ」ってやつでしょうか?)

 最後にこの「ドンキーコング」は、非常にテンポが良くて遊びやすくG&W中ナンバー1の出来ではないでしょうか?
「ドンキーコング」を題材として扱ったような電子ゲームが他メーカーからいくつか発売されましたが、
「複数面」と言う事にこだわっており、オリジナルの面白さを理解している任天堂のこのゲームと比べると今イチでした。
もう一つ、G&W(「バーミン」「パラシュ−ト」など)において高得点になると状況によっては連続ミスが発生する事が
あるのですが、このゲームではプレイヤ−が救助マンを出現させるタイミングを決められる為に、
この様な事がありません。又、難易度も適度で初心者にも安心してオススメできます。
業務用からのアレンジが見事成功した名作、是非GETしてプレイして下さいっ!
(個人的感想を言うと「普通にミスしてゲームオーバー音が鳴る」のと「救助マンが落下してミスの後に
鳴るゲームオーバー音」とでは何か違う感じがするのですが、これは単なる気のせいでしょうか?)
タイミング良くタルをジャンプ!

■本体解説:スクリーンが2枚で面白さ3倍?

 「ゲーム&ウォッチ・マルチスクリーン」シリーズは、同「ワイドスクリーン」シリーズの次に登場したシリーズです。
折り畳み可能で、スクリーンが2枚の構成になっています。G&Wのデザインの良さは相変わらずで高級感が残っているのが印象的です。
ただ、折り畳んだ時には時計を見る事が出来ないので、より一層ゲームを強調した作りになっています(見れば分かりますが ^^;;)。
マルチスクリーン・シリーズでは縦型の機種がメインですが、横型の機種もあります。
縦型・・「オイルパニック」「ドンキーコング」「ミッキー&ドナルド」「グリーンハウス」「ピンボール」「ブラックジャック」
横型・・「マリオブラザーズ」


■当時の思い出

 私はこのG&W版で「ドンキーコング」を知りましたので、業務用を発見した時に「G&W版を真似した」とほざいて
友人からヒンシュクを買った記憶があります。しかし業務用はお金が無いのでなかなかプレイ出来ず、G&W版に思いっきりハマりました
ので、こちらの方が思い入れがあります。普通のプレイだけでは飽き足らず、高速電池抜き差しで救助人をジャンプさせたままにするなどの
誤動作も結構やりました。使い込んでいるので、ボタンの名称が書いて有る銀板(?)が剥がれかけてしまいました(涙)。
20歳後半の世代の方は当時小学生だったので、同じ思いをした方も結構いるのではないでしょうか?


■今でもプレイ出来る!「ゲームボーイ・ギャラリー2」

 このゲームも「ヘルメット」同様、ゲームボーイソフト「ゲームボーイ・ギャラリー2」に収録されています。
ただし、ゲーム画面がゲームボーイの画面に入りきらない為に画面が縮小拡大するなどG&W版とは違う部分がありますが、
G&W版の「ドンキーコング」の面白さを十分に味わえるでしょう!手軽に遊べる内容なので是非プレイして下さい!


参考文献:「ゲーム&ウォッチ大作戦」(松本裕之氏/花華留多発行)

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