トライ3の本体

トライ3(MG-777)

カシオ計算機/ゲーム電卓シリーズ/1981年頃
(C)1981 CASIO COMPUTER

ゲーム性 ★★★ ウリである「ALL SAMEゲーム」が意外と遊べない(涙)
操作性 ★★★ 特に問題無し
キャラクタ(画面) ★★ 数字ゲームなので地味な感じは隠せない
サウンド ★★★ 少々うるさい感じがするが気になるほどでは無い
ハード ★★★ 電卓でありながら、この画面の広さ・・・感心します
総合 ☆☆☆ 「HIT AND HITゲーム」があるから良いが・・・・・

■3つのゲームが内蔵しているお得品?

 カシオ計算機のゲーム電卓シリーズって言うと4作品(「デジタルインベーダー」「エイトアタック」「ボクシング」「ベースボール」)が有名ですが、
それ以外となると、簡単には思い出せません。やはり任天堂のゲーム&ウォッチ等と比べると地味な印象を受けるので数字だけのゲームでは
忘れがちです。事実、アニメーション機能を搭載したゲーム電卓の「ボクシング」「ベースボール」はかなり人気があった様に
思えます(少なくとも私の周囲では)。しかし、電卓ゲームはやはり「デジタルインベーダー」の様な数字を使ってのゲームが基本だと思うのです。
数を表すだけのデジタル表示をゲームのキャラにしてしまう発想が好きなんです(って言うか単にゲームが好きだったりして ^^;)。
このゲームも数字を扱ったゲームです。しかもゲームが3種類入っているのです!内容の方はどうでしょうか?順々に説明していきます。

<ゲーム1・ALL SAMEゲーム>
 このゲームは、9つの枠の中にある数字を全て同じにするゲームです。
まずGAMEモードにして、数字キーでどの数字を合わせるか決めます。
例えば「7」にした場合は、全ての数字を7にするとクリアとなります。この時、ゲームには0〜7までの数字しか
出てきません。0から設定した数までの数字しかゲームに使用しません。ゲーム中に登場する数が多いと
難易度もアップする訳ですね。
次に目標となるクリア手数(何回でクリアするか)を決めます。これは1〜19まで指定出来ます。
「3」と押した場合は3回で全ての数字を同じにすると言う訳です。合わせる数字とクリア手数を決めたら
[GAME1]キー(画面右下付近にある3つのキーの一番左側のキー)を押すとゲーム開始です。

 ゲームが始めると9つの枠に数字が表示されます。9つの枠はそれぞれの数字キー(1〜9)と対応しています。
数字キーを押すと、押した数字キーの場所の数字を中心とした十字方向の数字に1が加算されます。
加算して設定した数字を超えてしまったら0に戻ります(数字が変化する時に下に線が出来ます)。
数字が揃ったら「ピロロッ」と音が鳴り、クリアとなります。
[TM]キーを押してスコア(手数)を確認しましょう。クリア手数を多く設定すると、パニックになって大抵その手数では
クリア出来ません。手数が少ない方が良い成績なのです。
☆一目瞭然!キー操作による数字の変化☆
キー操作による数字の変化[1]キー キー操作による数字の変化[2]キー キー操作による数字の変化[3]キー キー操作による数字の変化[4]キー キー操作による数字の変化[5]キー
[1]キーを押した時 [2]キーを押した時 [3]キーを押した時 [4]キーを押した時 [5]キーを押した時
キー操作による数字の変化[6]キー キー操作による数字の変化[7]キー キー操作による数字の変化[8]キー キー操作による数字の変化[9]キー
[6]キーを押した時 [7]キーを押した時 [8]キーを押した時 [9]キーを押した時
ALL SAMEゲームの設定画面
数字キーを[7][3]と続けて押すと、
「3回で全ての数字を7にせよ」
と言う事になります。
ALL SAMEゲームのスタート画面
ゲーム1キーを押すと、「ピーピロッ」と
音が鳴ってゲームスタート!
「ALL SAME」が揃える数字で、
「TRY」が目標となるクリア手数です。
☆見てよく分かる簡単なクリア例(3手詰で7を揃える場合)☆
ALL SAMEゲームのクリア例ステップ1 ALL SAMEゲームのクリア例ステップ2 ALL SAMEゲームのクリア例ステップ3 ALL SAMEゲームのクリア例ステップ4 ALL SAMEゲームのクリア例ステップ5 ALL SAMEゲームのクリア例ステップ6 ALL SAMEゲームのクリア例ステップ7
ステップ1
ゲームスタート
ステップ2
まずは[6]を押す。
ステップ3
4が5に変わった。
ステップ4
[3]を押す。
ステップ5
もはやクリア目前
ステップ6
再度[3]を押す。
ステップ7
ハイ完成!

 このゲーム、よく練られているんですけど、ステージクリア制ではなくてプレイヤーが自由に設定出来るので、あまり向上心が沸かないんですよね。
「もっと難しい面を挑戦するぞ」みたいな気持ちより、クリアしても「それで?」みたいな気持ちが先行してしまいます。
ハイスコアが記録されないのも、その原因の中の1つでは無いかと思います。これは本当にビジネスマンが気軽にプレイ出来るように
配慮した結果かもしれませんね。ゲームが好きな人には少々辛いかもしれません。
ちなみにGAMEモードにして、何もしないでしばらく放っておくとデモ画面になります。コンピュータのプレイを見るのも面白いものです。

<ゲーム2・STOP THE SEVENゲーム>
 この名前を聞いて「ハッ」と思われた方、正解です。要するにスロットマシンです。
GAMEモードにして[GAME2]キー(画面右下付近にある3つのキーの中央のキー)を押すと、ゲーム開始です。

 ゲームが始まると、「o」「−」「3」「5」「7」のマークが書かれたドラムが回転して自動的に止まります。
そしてドラムが止まって揃ったマークによって得点が加算されます。上段・中段・下段のいずれかの行の
マークが3つ揃っても得点になります。揃ったマークが「o」だと10点、「−」だと20点、「3」だと30点、「5」だと50点、
「7」だと70点が加算されますが、(同じマークに限らず)2段揃うとその合計の2倍の点数が、
3段揃うと合計の4倍の点数が加算されます。

 ゲーム終了後、[1](左側)[2](中央)[3](右側)キーを押して特定のドラムだけ回転する事が出来ます。
ただし、この時にマークが揃っても得点は累計されません。0点から揃ったマークに応じた点数が加算されるだけです。
「ワンダートピアWN-100」のスロットマシンと同じ様な感じですね。これではせっかく数字が揃ってもそれで終わり・・・、
苦労が報われません。私は昔、ALBAの腕時計ゲーム「ガンマン/スロットマシン」を持っていましたが、
こちらは数字を揃えて点数を稼ぎ、999点になったらコンピュータがお手上げ(ゲーム終了)と言ったものでした。
1回で終わってしまうより、ずっとやり甲斐があると思うのですがどうでしょうか?
STOP THE SEVENゲーム画面

<ゲーム3・HIT AND HITゲーム>
 このゲームは簡単に言うと「変形もぐら叩き」ゲームです。
GAMEモードにして、[GAME3]キー(画面右下付近にある3つのキーの一番右側のキー)を押すと、ゲーム開始です。

 ゲームが始まると、9つの枠の1つに「o(子モグラ)」が表示されます。素早く対応するキー(ALL SAMEゲームと同じ)を押すと
数字(数字モグラ)に変化しますので、数字モグラと同じ数字を押します。子モグラ・数字モグラを退治すると各40点加算されます。
又、子モグラ・数字モグラをミスせずに(見逃した場合はミスとカウントしません)連続で5匹退治すると、数字モグラの代わりに「H」(親モグラ)が
出てきます。親モグラの出た位置に対応したキーを押すと、200点が加算されます。
1つのレベルで16匹の子モグラ・数字モグラが出現します(合計32匹)。1レベルで1000点以上の得点になると次のレベルに進めます。
もちろん1000点得点出来ない場合はゲームオーバーとなります。
合計得点の千桁以上がそのままレベル数を表しています(12000点=レベル12)。当然、レベルが上がるとモグラのスピードも速くなります。
つまりレベル5まで行くには、最低でも5000点以上得点しなければいけないと言う訳ですね。

☆数字モグラ達との過酷な戦い☆
HIT AND HITゲーム画面その1 HIT AND HITゲーム画面その2 HIT AND HITゲーム画面その3 HIT AND HITゲーム画面その4
ゲーム開始!
どこから出てくるかな?
あ、右上に子モグラ出現だ
素早く[9]を押そう!
数字モグラに変身!
今度も[9]を押そう!
ゲームオーバー
レベル0で得点は40点だ

 このゲームは結構ハマります。2段階にキーを押すと言う行為はゲーム性を非常に高めていて良いと思います。
ハッキリ言って、この3つのゲームの中で一番面白いのが「HIT AND HITゲーム」でしょう。
スピードが速くなると焦って、つい間違ったキーを押してしまいます。
音がうるさいのが玉にキズですが、やり込んでしまう事間違い無しでしょう。これをメインにすれば良かったのに・・・と思うのは私だけでしょうか?

■本体解説:ルートキーが無い電卓って?

 カシオのゲーム電卓シリーズは、このゲームの他に「デジタルインベーダー(MG-880)」「エイトアタック(MG-885)」「ボクシング(BG-8/15他)」
「ベースボール(BB-9)」、MG−888、占い電卓(FT−7)、OCT−リバーシ(CG−8)、パチンコ電卓(PG−200)等があります。
このゲームもそうですが、ゲーム電卓シリーズは普通の電卓と比べても分かる通り、ゲームの為にかなり画面を広くしてます。
画面の3分の2はゲームでしか使いません。ここまでやるカシオには脱帽しますが、
これではゲームがメインか電卓がメインか分かりませんね(笑)。

 ところで高校の数学の先生が「ルート(平方根)キーが無い電卓は使いモノにならん!」と言われたのですが、
カシオのゲーム電卓シリーズにはルートキーがありません。実務上は殆ど使わないルートキーですが、
私は今でもその言葉が引っかかり、ルートキーの無い電卓は何となく実務で使う気にはなれないのでした。みなさんはどうですか?


参考文献:「答え一発!カシオ計算機」(松本裕之氏著/花華留多発行)
「Valkyrie-記憶の彼方へ-」(RATH氏)

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