CASIO PB-1000 FOREVER!

CASIO PB-1000/C用32KBメモリ増設(RP-32互換)


PB-1000/Cの32KBメモリを増設しよう! RP-32互換のメモリ増設です。
CASIO PB-1000/PB-1000C共に利用可能です。


注意
本改造を実施すると、理由の如何に関わらず、
メーカー保証は受けられなくなります。
(改造品扱いになるため、
故障しても修理すら引き受けてもらえなくなります)
また、ポケコンを壊してしまう場合もありますので、
実施は自己責任でお願いします。


1.はじめに

PB-1000/Cは標準状態でRAM8KB(フリーエリア3.5KB)と、複数のプログラムを利用するためには非常に少なく、
本格的に使うにはメモリ増設は必須です。しかし増設メモリ(RP-32)は、現在、入手が非常に困難(と言うか、ほぼ絶望)
な状況であり、せっかくPB-1000を持っていても電卓としてしか利用できていない人も多いのではないでしょうか。

本記事は、標準状態では空きパターンとなっている増設メモリ用のポートにロジックICを利用して32KBのSRAMを
増設するための技術情報および、実際のメモリ増設手順を述べています。


2.増設メモリポートの説明
増設ポート部分

メモリ増設と言っても、PB-1000/C側にある
増設メモリ用ポートの対応するピンに、
市販のSRAM(HM62256相当品)とロジックIC(74HC21)を
接続してしまうだけです。

増設メモリ用のポートは、PB-1000/Cのカバーを外すと見えます。

メモリを増設するには、
ここにHM62256相当品と74HC21を接続してしまえば良いと言うことになります。


3.増設メモリポートピン配置
PB-1000/C拡張メモリコネクタピン配置図

PB-1000/C側増設メモリポートのピン配置図を示します。

見ると判りますが、アドレスやデータ信号、/WE、/OE以外に
チップセレクト信号が/CS1〜/CS4まで4つあり、
元々64KbitのSRAMを4個接続する事を考えて
設計されていることが判ると思います。

SRAM側のピン配置図 SRAM側(HM62256-LFP)とロジックIC(74HC21)の
ピン配置は左図のようになっています。



図のピン番号(1〜32)の横に括弧内に併記してある信号名が
HM62256側の対応するピンの名称となっています。
ロジックIC(74HC21)は 4入力AND回路で、
/CS1〜/CS4を1つの/CSとしてまとめるのに使います。

4.1.メモリ増設の材料

今回の増設メモリ作成時に使った部品と材料です。

番号 名称/型番等 個数
1 ハンダごて(15W程度/セラミックヒータータイプ) 1
2 ピンセット(あると便利) 1
3 ワイヤストリッパー(あると非常に便利) 1
4 精密ドライバセット(+および−) 1式
5 テスター(通電を音で確認できるタイプが便利) 1
6 1.27→2.54ピッチ変換基板(サンハヤト製 ICB-010) 不器用な人向け? 1
7 256Kbit SRAM(HM62256-LFP相当品) 1
8 74HC21(DIPタイプでOK) 1

SRAM(HM62256-LFP)とロジックIC(74HC21)は、通信販売等で入手可能です。
私は サンエレクトロ にて入手しました。

4.2.メモリ増設手順

基本的には、配線図通りに各ICと増設メモリコネクタとを結線するだけです。
大まかに言って、制御信号を配線後に各信号線を配線するとやりやすいかと思います。

制御信号配線図 (1)まず制御信号(/WE,/OE,/CS1〜/CS4)や
電源配線(VCC,GND)を結線します。
アドレス/データ信号配線図 (2)次に増設メモリコネクタ側のアドレス信号(A0〜A14)と
データ信号(D0〜D7)を、対応するSRAM側信号線に全て接続します。
ジャンパが多いので配線ミスには注意してください。

4.3.実際の作例

私が実際にメモリ増設した例です。(非常に汚いハンダ付けなのであまりお見せしたくないのですが・・・)

実際の作例

実際に作成するときには、以下の手順で行いました。工作時の参考にしてください。

(1)PB-1000/Cの電池を抜き、キーボード側カバーを外す。(増設メモリスロットが見えます)
(2)増設スロット部の空きエリアに両面テープなどでロジックIC(74HC21)およびSRAM(HM62256相当品)を固定する。
※SOPタイプのSRAMを利用する場合、サンハヤトICB-010等を利用してピッチを
2.54mmに変換してやると配線がやりやすい(不器用な人向けですが)。
その際、SRAMの横幅が基板のパターンギリギリなので、実装する前にSRAMのPinを
左右から押してPin幅を縮めておくと良い。
※ロジックICもDIPタイプを利用し、足を広げ短く切断しておくと配線しやすい。
(3)各ICのVCC、GNDを接続。増設メモリコネクタ側/CS1〜/CS4を74HC21(Pin1,2,4,5)に配線する。
(4)/CS(74HC21 Pin6)とSRAM側/CS(HM62256 Pin20)と接続。
(5)増設メモリコネクタ側/WE,/OE,A0〜A14,D0〜D7を、対応するSRAM側信号線に全て接続する。
※配線が非常に多いので、1本接続する毎に正しいかどうか確認した方が良いです。


5.動作確認

全ての配線が終了後、目視やテスタで正しく結線されている事を確認したら、電池を装着して
動作確認(NEW ALL/RESET後にSYSTEM命令で確認)をします。
NEW ALL後、SYSTEMを実行して FREE 27648 V:8191 $:1024 となっていれば、ひとまず成功です。
増設後のメモリ容量確認

正常にメモリが認識されたら、大きなサイズのプログラムを実行して最終的な動作確認をします。
本サイトにあるプログラムは力作揃いなので、動作確認する(=楽しく遊ぶ)には充分です(笑。
ソフト動作例


6.あとがき

VX-4の128KB化改造以来、すっかりご無沙汰しています。
RP-32互換のメモリ増設について書きましたが、実はこの改造は1年半以上も前に予備機として
PB-1000Cを入手した際にやっていた事で、今まであまり需要がなさそうだったため記事化は
していませんでした。(単にサボっていただけという話もありますが・・)

元々PB-1000/Cはポケコンとしては異色のマシンで、価格も高めで、ベストセラーのPB-100シリーズや
後継機(AI-1000、FX-870P、FX-890P)が存在したことでユーザー数が少なかったと記憶しています。

そのためか、今ではオークション等でもレアアイテムと化して、価格も高騰している現実があり、
持っている人は実務で使っているより、コレクションとして保管されている物が多いと推測されます。

今回の改造は貴重な(?)PB-1000/CにSRAMを直接ハンダ付けしてしまうと言う、とんでもないモノなので、
”PB-1000でプログラムを動かしたいが、どうしてもRP-32が手に入らず困っている”と言う方以外には
あまりオススメしません。(特に美品をコレクションしているような方にはオススメできません)

そんなワケで、世界的にも需要はあんまりない記事かと思いますが、私のように今になって使いたくなり
PB-1000/Cを入手した人や、机の中でずっと眠っていたPB-1000を見つけ、このサイトを見て
マシンの復活を思い立ったがメモリが標準装備だった人など、”今でもPB-1000を使いたい!”と言う
想いを持った方々の手助けとなれましたら幸いです。(読んで当時を懐かしんで頂くだけでも嬉しいです)

2005-10-22 @あお

増設メモリコネクタのピン情報はAndreas Wichmann氏のページを参考にさせていただきました。
記事は、あお氏よりご寄稿して頂きました。ご協力誠にありがとうございました。

戻る